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獄中で書かれた7冊の本

本は書斎以外でも書かれます。旅する電車の中や、ホテルの机、最近だと通勤中にスマートフォンで書かれた本もありました。 そして多くの本が監獄の中で書かれたことをご存知でしょうか?意外な本が獄中で執筆されていますよ。
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1.花のノートルダム / ジャン・ジュネ

10代の頃から犯罪を繰り返していたジュネは15歳で感化院(非行少年の教化施設)に送られ、その後もたびたび収監されます。この小説は1942年からの服役中に書かれました。労役の袋貼りの紙を盗み、そこに書きつづったと言われています。本はコクトーの助力で秘密出版され、1944年に文芸誌に抜粋が掲載されました。女装の男娼ディヴィーヌの生きる世界が描かれます。

花のノートルダム (光文社古典新訳文庫)

花のノートルダム (光文社古典新訳文庫)

2.ドン・キホーテ / ミゲル・デ・セルバンテス

世界的なベストセラーのこの小説の作者、セルバンテスは何度も投獄されています。決闘、海戦への参戦、捕虜生活など本人の人生も小説並に波乱万丈でした。ドン・キホーテは税金問題で入獄した1597年のセビーリャ監獄で構想されたことを前編の序文でほのめかしています。

ドン・キホーテ 前篇(1) (ちくま文庫)

ドン・キホーテ 前篇(1) (ちくま文庫)

3.留魂録 / 吉田松陰

小伝馬町の牢獄に投獄された松陰は、自らの処刑を察知し、1859年10月25日、26日の二日間でこれを書き上げます。弟子たちへなんとか届くように二通が直筆で書かれました。本は松下村塾の塾生たちの間で回し読みされ、維新の原動力となります。処刑は10月27日に行われました。

吉田松陰著作選 留魂録・幽囚録・回顧録 (講談社学術文庫)

吉田松陰著作選 留魂録・幽囚録・回顧録 (講談社学術文庫)

4.東方見聞録 / マルコ・ポーロ

マルコ・ポーロは24年間のアジアの旅を終えてヴェネツィアに戻るとジェノヴァとの戦いに志願兵として参加します。そして捕虜となり、投獄されている時に同じく投獄されていた著述家のルスティケロ・ダ・ピサに自分の冒険を伝えました。ピサは自分がほかで聞いた話も盛り込んでしまったみたいです。

マルコ・ポーロ 東方見聞録

マルコ・ポーロ 東方見聞録

5.オー・ヘンリーの短編集

オー・ヘンリーは働いていた銀行のお金を横領した容疑で収監されました。この事件で彼が本当に犯罪をしたのかどうかは、本人が口を閉ざしていたためわかりません。刑務所の中で書いた多くの短編をこっそり新聞社や雑誌社に送り、服役中に3作が出版されました。オー・ヘンリーというペンネームの由来もわかっていませんが、検閲されていない文章を刑務所から送るのは罪だったのでペンネームが必要だったようです。

1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編 光文社古典新訳文庫

1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編 光文社古典新訳文庫

6.美徳の不幸 / マルキ・ド・サド

サドは貴族であったにもかかわらず、度重なる放蕩で何度も牢獄に入れられます。本書は1787年にバスティーユ牢獄に収監中に15日で書き上げられました。その後、改題や加筆をくり返して出版されています。ソドムの百二十日も収監中に書かれた作品です。

美徳の不幸 マルキ・ド・サド選集 (河出文庫)

美徳の不幸 マルキ・ド・サド選集 (河出文庫)

7.獄中記 / オスカー・ワイルド

ワイルドは1895年に同性愛行為の罪で告発され、それからの2年を監獄で暮らします。多くの獄中記は出所後に書かれますが、この本は恋人だったダグラス宛の手紙として獄中で書かれています。深い内省にいろどられた示唆にとんだ本だと思います。私はなぜか刑務所の様子を描いた本が好きなのでいつか獄中記でまとめてみたいと思います。

獄中記 (角川文庫ソフィア)

獄中記 (角川文庫ソフィア)

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